鬼筆のスポ魂

日本サッカー「新しい景色」への課題、指導者の国際化とJ1強化を急げ 植村徹也

対クロアチア戦後、サポーターにあいさつする森保一監督=アルジャヌーブ競技場(撮影・蔵賢斗)
対クロアチア戦後、サポーターにあいさつする森保一監督=アルジャヌーブ競技場(撮影・蔵賢斗)

またしても達成できなかったベスト8。日本のサッカーが4年後の26年W杯米国・カナダ・メキシコ大会で世界の高い壁をぶち破るには何が必要なのか。見えてくるのは2つの課題だ。

日本はW杯カタール大会の決勝トーナメント1回戦でクロアチアに延長を含めた120分を戦い1ー1のままPK戦に突入。3本のシュートを止められ敗れ去った。「死の組」と呼ばれた1次リーグE組では優勝経験のあるドイツ、スペインに逆転勝ちし首位突破。今度こそは過去に3度はね返されたベスト16の壁を乗り越えて「新しい景色」が見られるか…と思ったが、またしても夢破れた。

7日に帰国した日本代表の森保一監督(54)は「こんなに皆さんに喜んでいただけているとは思ってなかったので、空港で驚きを感じました。幸せな気分になった」と話すと、次の4年に向けた課題を口にした。

「今後の日本サッカーの評価として、チームの活動はあるが、選手個々が個の能力を上げることが日本の評価につながる。選手には高いレベルを目指し、W杯基準、世界で勝つために何をすべきかを持ち続けて成長し続けてほしい」

問題は具体的にはどうやって個々の能力を向上させて日本サッカーをレベルアップさせるか…だが、個々の選手の努力や研鑽(けんさん)だけでは目標達成への道筋は見えてこない。「日本のサッカー界全体の大きな取り組みや改革が求められる」とサッカー関係者は話す。

まず身近な課題として指摘するのは指導者だ。日本サッカー協会は森保監督に水面下で続投意欲を確認した模様で、同監督もテレビ出演した際、キャスターから「代表監督を続けてくれといわれたら、引き受けますか?」と問われ「はい、続けたいと思います」と答えた。次の4年も森保監督は濃厚だが、協会は激務の代表監督の続投を本人が固辞した場合に備えて、水面下では〝ポスト森保〟の候補者を絞っていた。

その有力候補者はスコットランド・セルティックFCで監督を務めるアンジ・ポステコグルー氏(57)。18~21年は横浜Fマリノス監督を務め、19年にはJ1優勝を飾った。ポステコグルー監督をリストアップした背景にこそ、日本サッカー協会の練る強化策が見える。今回のカタール大会では代表メンバー26選手のうち、海外でプレーしている選手は19人だ。一方で首脳陣の欧州経験者はゼロ。

現在、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトに所属する長谷部誠(38)が将来の代表監督就任を視野に指導者の道を歩もうとしている。サッカーの本場である欧州で指導理念や技術を磨いた指導者が日本サッカー界に自身が得た知見を持ち帰ることは極めて大事。つまり指導者の〝国際化〟をもっと進めなければ、日本サッカーは次のステップに歩めないという考えだ。

さらに国内ではJ1のレベルアップが急務だ。サッカー協会の内部では将来構想として現在18チームで構成されているJ1を10チームぐらいに絞り込み、「J1プレミアム」として競争力を高めようという考えがある。国内にビッグクラブを作り、選手の待遇面を改善し、海外からも有力選手を招聘してJ1を強化しようという発想。これまでのサッカー界は地域密着型で広く浅く…という経営方針だったが、国内最高峰のリーグは欧州リーグにも匹敵する格付けにしたい構想を秘めている。

冒頭に「次の4年に向けて…」と書いたが、指導者の育成プランやJリーグ改革はこの2~3年で達成できる話ではないのかもしれない。ただ、こうした大きな流れの中で26年W杯の米国・カナダ・メキシコ大会を迎えるのならば、「新しい景色」をもっとリアルに感じる局面がやって来るのかもしれない。

(特別記者)

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