習政権「不安定化恐れ、緩和見切り発車」 興梠一郎氏

興梠一郎・神田外語大教授
興梠一郎・神田外語大教授

興梠(こうろぎ)一郎・神田外語大教授は9日、産経新聞との取材に応じ、中国の習近平政権が「ゼロコロナ」政策の転換に踏み切った背景について語った。

習政権がゼロコロナ政策の転換に踏み切ったのは、若者の抗議が国民全体の不満を代弁していると感じ取り、放置すれば政権が不安定化すると恐れたからだろう。大規模な抗議活動は習体制で初めてだ。工場などでの抗議は10月以降、散発していたが、新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチの火災後の学生デモは、性質も広がりも政権の予想を超えていた。当局はデモ封じ込めと緩和措置の二正面で沈静化を図っている。

国民の不満は、ロックダウン(都市封鎖)による不自由にとどまらず、企業の倒産や失業など生活に直接影響があったためだ。外資系企業からも不満表明があり、当局は外資の撤退を警戒していた。ゼロコロナをやめなければ雇用を含む経済全体が立ち行かなくなることは分かっていた。

学生デモを引き金に政策を急転換したものの、当局はゼロコロナの成果を誇ってきた習国家主席の権威が傷つかないよう、オミクロン株が弱毒化したからだと説明し、過去3年間の「成果」は否定していない。

農村部の医療体制の不備や高齢者のワクチン接種の遅れなど問題は残っているが、一度解き放った規制を元に戻せばさらなる反発を招く。見切り発車のまま、徐々に国際基準に向かっていくだろう。(聞き手 田中靖人)

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