たかが名前、されど名前だ。名前の付け方次第で、ものの見方が変わることもある。それは、戦争に関しても言える事実だ。
防衛省のシンクタンク・防衛研究所が5月に発表した『ウクライナ戦争の衝撃』を取りまとめた際は、執筆者の間で戦争の名前をめぐり意見が分かれたという。2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻を「ウクライナ戦争」と呼べば、ウクライナの内戦のように受け止められてしまう。ならば「ロシア・ウクライナ戦争」と表記すべきではないかという声が上がった。
結局、防衛研究所の書籍では分かりやすさを優先して「ウクライナ戦争」が採用された。関連書籍を見渡すと、やはり「ウクライナ戦争」が多い。だが、「ロシア・ウクライナ戦争」や、プーチン露大統領の侵略性を強調した「プーチン戦争」「ウクライナ侵略」「ウクライナ侵略戦争」も散見される。