6月30日に就任したフィリピンのマルコス大統領が米国との関係強化に乗り出し、南シナ海問題をめぐって中国への反発を強めている。南シナ海で自国領土は「1インチも譲らない」と一歩も引かない姿勢を示し、中国と共同の石油・ガス資源開発事業も打ち切りの方針を示した。フィリピンはインド太平洋地域の要衝に位置し、台湾海峡にも近い。米中にとって戦略的重要性が増す中、マルコス外交の真意はどこにあるのか。
親中ドゥテルテ前政権から転換
「米国を含まないフィリピンの未来はない」。マルコス氏は11月、フィリピンを訪問したハリス米副大統領との会談でこう強調した。その上で、中国との南シナ海をめぐる領有権の争いを念頭に「特にこの地域で見られる激変によって、米比の関係はさらに重要性を増している」と話した。