主張

防衛費財源 歳出改革の徹底こそ先だ

岸田文雄首相(矢島康弘撮影)
岸田文雄首相(矢島康弘撮影)

政府・与党が防衛費増額の財源をめぐり、歳出改革や決算剰余金などを活用し、それでも足りない場合には増税する方針を確認した。

岸田文雄首相も政府・与党に対して具体的な検討を指示した。防衛力を増強するうえで防衛費の安定的な財源の確保は欠かせない。

まずは歳出削減の徹底など、歳出構造改革に取り組むことを優先すべきなのは当然である。

そのうえで必要な費用を精査して国民に新たな負担を求めるのが筋であろう。安易な国債増発や増税は許されない。

与党内では法人税に対する段階的な増税案が浮上している。法人税を増税する場合、経営が厳しい中小・零細企業に配慮するなどのきめ細かな対応も求められる。

与党は来年度以降、5年間の防衛力整備の総経費を約43兆円とする政府の方針を了承した。

そして首相は、歳出削減や決算剰余金などを駆使したうえで5年間の最終年度となる令和9年度以降に必要となる増税分は約1兆円との見通しを示した。

与党内では一時、財源を確保するための増税を優先する案が浮上していた。だが、最終的に国民に負担を求める増税を実施するにしても、まずは現行の歳出構造を徹底的に見直し、歳出削減に向けた努力を尽くす必要がある。

財務省は一般会計の決算剰余金に加え、外国為替資金特別会計の剰余金や財政投融資特別会計の積立金の一部、国有財産の売却などを防衛費の増額に充てる財源候補としている。それはよいとしてもこうした剰余金や積立金の活用は安定的な財源とはいえない。

何よりも幅広い歳出項目に対して厳しくメスを入れ、無駄な予算の削減に取り組む必要がある。それでも不足する場合に具体的な増税を検討すべきである。政府・与党がそうした歳出削減の成果を示さなければ、増税に対して国民の理解は得られまい。

日本では今後、急速な少子高齢化に伴う社会保障関係費だけでなく、脱炭素に向けたエネルギー・環境対策などでも多額の費用が必要になると見込まれる。そうした中で新たな増税を求めるには、ロシアや中国、北朝鮮などにより日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している現状を丁寧に説明し、防衛費増額の必要性を改めて訴えることも肝要だ。

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