〈独自〉「がんや発達障害治る」宣伝して未承認食品販売・一般社団法人を摘発

役員2人が書類送検された「一般社団法人免研アソシエイツ協会」が入居するビル=9日、大阪市中央区
役員2人が書類送検された「一般社団法人免研アソシエイツ協会」が入居するビル=9日、大阪市中央区

医薬品として承認されていない顆粒(かりゅう)状の食品を「がんや発達障害が治る」とうたって販売したとして、大阪府警生活環境課は9日、医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告禁止など)の疑いで、健康食品販売などを手がける一般社団法人「免研アソシエイツ協会」(大阪市中央区)の代表理事の男(77)と息子で理事の男(39)、さらに法人としての同協会を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。

同協会は令和元年からの約3年間で同様の食品などを販売し、約1億円を売り上げていたとみられる。2人は容疑を認めているという。

捜査関係者によると、2人は共謀し令和2年6月~4年6月、厚生労働省から医薬品として承認を受けていないにもかかわらず、「糖鎖機能性食品G」という商品名の顆粒状の食品について、がんや発達障害に効果・効能があるとインターネット上で宣伝。中国地方の60代の女性と近畿地方の70代の男性に計12万6360円で許可なく販売した疑いが持たれている。

糖鎖機能性食品Gは、乳糖やブドウ糖といった糖分と、アロエやマイタケから抽出した物質を顆粒状にした食品-とされる。同協会はホームページに「脳細胞を活性化し、細胞情報伝達により自然治癒力を高める」などと記載。がんやアトピー、発達障害などへの治療効果をうたっていた。いずれも効果は認められていない。これまでに健康被害は確認されていない。

男らは平成27年と令和2年に、大阪市から販売形態などを改善するよう行政指導を受けたがそのまま継続、今年11月には消費者庁から措置命令や指示を受けていた。

過大広告、がん患者の心理悪用

いわゆる「健康食品」は、医薬品として承認を受けておらず、特定の病気に対する効果・効能をうたうことは禁じられている。だがインターネット上では、直接的な表現を避けつつも効果を印象付けるような宣伝文句が目立つ。

近畿地方に住む会社員の男性(40)は、がんで亡くなった母親が健康食品の愛好者だった。「治療がうまくいかなくなった母にとって、健康食品が心の支えになっていた一面もある」とした上で、「がん患者の少しでもよくなりたいという心理につけこみ、まるで効果があるような宣伝に正直腹立たしく思う部分もある」とこぼす。

男性によると、母親が健康食品の購入を始めたのはがんの宣告を受けてから約5年後。再発が続き、思うように治療が進まなくなっていた頃のことだった。

買っていたのはニンニクから抽出した成分を含んだものや、自然由来をうたうものが多かったという。

中には病気から回復した利用者の経験談が紹介されているものもあったが、腫瘍マーカー値の推移といった具体的な情報はなく、どこまでがその食品による影響なのか判別できないと感じた。

しかし男性がそのことを口にすることはなかった。効果を疑問視することが、何とかして助かろうという母親の頑張りを否定するように思えたからだ。

約5年後に亡くなるまで母親は100万円超をさまざまな健康食品に費やしたという。

病気が治った人の話を成功体験的に紹介するといった宣伝手法は、患者心理につけ込んでいるように感じた。男性は「健康食品自体は悪いものではない。ただ商売のやり方として倫理的にどうなのか」と話す。

名古屋大の加納安彦助教(科学・健康教育)は「これさえ食べておけば大丈夫といった考えは『フードファディズム』と呼ばれ、健康食品に傾倒する原因になる。医師は日ごろから患者との信頼関係を築き、適切な情報を与えることが重要だ。消費者側も冷静な判断が求められる」と指摘した。

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