露、米女子バスケ選手を釈放 米との「囚人交換」内幕は…

米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手=2021年8月(ロイター=共同)
米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手=2021年8月(ロイター=共同)

米露両政府は8日、ロシア入国時に大麻製品を所持していたとして懲役9年の実刑判決を受け服役中だった米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手が釈放されたと発表した。同選手の拘束は、米国に服役しているロシア人受刑者を「囚人交換」の形で取り戻すための露政府の策略だった可能性が指摘されている。

米当局はグライナー選手の釈放と同時に、武器密売などの罪で服役していた露元軍人のビクトル・ボウト受刑者を釈放し、8日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ空港で2人の身柄が交換された。2人は直ちに帰国の途に就いた。

ボウト元受刑者は、プーチン露大統領と同様に旧ソ連の情報機関の出身で、2008年にタイで米麻薬取締局(DEA)によって身柄を拘束された。露政府は、自国民を外国で捕らえて米国で裁判を受けさせた米政府の行動に反発し、対抗手段としてグライナー選手を拘束して取引材料に使ったとみられている。

一方、米政府はグライナー選手に加え、18年に露当局に拘束され、スパイ罪で懲役16年を言い渡された元米海兵隊員のポール・ウィーラン氏の釈放も求めたが果たせなかった。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は8日、CNNテレビの番組で「2人の釈放を目標としたが、1人の釈放かゼロかの選択だった」と釈明し、交渉が露側優位で進んだことを示唆した。

ウィーラン氏はCNNの取材に、自身が釈放されなかったことに「深く失望している」と述べた。

バイデン米大統領は演説で、同氏の救出も「決してあきらめない」と強調したが、野党の共和党陣営からは「ロシアに屈した」などとする批判が出るなど、外交的敗北を喫したと見なされるのは避けられない。

一方、UAEの国営メディアによると、一連の釈放交渉は、同国のムハンマド大統領とサウジのムハンマド皇太子兼首相が「交渉を主導した」とされる。

ロシアがウクライナ侵略によって国際的孤立を強める中、対露関係を維持するサウジは、自国とロシアとのパイプが他国にも有益であることを示し、外交的勝利を得たといえる。

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