「かすみがうら市」(茨城県)、「さくら市」(栃木県)、「さいたま市」(埼玉県)、「みなべ町」(和歌山県)…。全国にひらがなが入った名称の市町が50以上もある。大部分は平成の大合併で誕生した自治体で、「読みやすさ」や「柔らかいイメージ」などの理由でひらがなが採用された。だが、地名に詳しい専門家の間には、伝統的な漢字名がなくなることを批判する声もある。
「みなべ」と読んでくれず
ひらがな入りの市町が4自治体と、北海道や茨城県とともに最多の和歌山県。全国屈指の梅産地・みなべ町も平成の大合併時代の平成16年、南部(みなべ)町と南部川(みなべがわ)村が合併して誕生した。両町村で用いられた南部という漢字を「みなべ」と読むのは難しく、新町名は読みやすさを優先した。