【ワシントン=坂本一之】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は7日の記者会見で、ロシア領内の空軍基地で相次いだ爆発がウクライナ軍の攻撃によるものとの見方を巡り、「ロシア内への攻撃をウクライナに促していない」と述べ、米国の関与を否定した。
カービー氏は、ウクライナへの武器供与で「米国はロシア内を攻撃する能力を与えていない」と説明。ウクライナの領土を守るために同国が必要とする武器を支援していると強調した。
米国が供与した武器をウクライナ軍がどう使用するかについては「ウクライナの決定を尊重する」とし、同国への配慮も示した。米国防総省のシン副報道官は同日の会見で「標的の設定や作戦の実施時期などはウクライナが決定している」と指摘した。
ただカービー、シン両氏ともロシア内への攻撃などで事態が大幅に悪化するこへの懸念を表明した。プーチン露大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟国への攻撃や核兵器使用に踏み切る可能性が高まることなどを懸念しているとみられる。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は5日、米軍が供与した高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」に関し、射程の長いミサイルでロシア内を攻撃できないようひそかに性能を変更していたと報じた。
報道によると、ウクライナが射程200マイル(約320キロ)近い米国の地対地ミサイルを他国から調達してもハイマースで発射できなくなっているという。
バイデン米政権は、ロシアによるウクライナ侵略を阻止するため大規模な軍事支援を今後も継続する方針だが、米露間の軍事紛争に発展しないよう米軍のウクライナ派遣は控えている。