経団連、令和9年度に国内投資100兆円の目標 政策の支援も期待 官民連携フォーラム初会合

首相官邸=東京都千代田区
首相官邸=東京都千代田区

政府は8日、経団連や各地の経済団体トップらと、国内投資拡大に向けた機運醸成策などを議論する「官民連携フォーラム」の初会合を首相官邸で開いた。総合経済対策の裏付けとなる令和4年度第2次補正予算を呼び水として、グリーントランスフォーメーション(GX)やサプライチェーン(供給網)強化の投資につなげる狙い。経団連は国内投資額を9年度に年100兆円に増やす目標を掲げた。

会合には、岸田文雄首相や西村康稔経済産業相、経団連の十倉雅和会長らが出席した。

会合では、十倉氏がGXやデジタルトランスフォーメーション(DX)は投資拡大の大きなチャンスであり、日本経済の持続的な成長に向けた中長期的な視点に立った設備投資や研究開発投資の加速が重要と指摘。GXやDXを後押しする効果的な政策対応があれば、国内投資額は3年度の86兆円から9年度に14兆円増えて100兆円に押し上げられると強調した。

経産省によると、国内投資額が100兆円となれば、過去最高だった平成3年度の102兆7千億円に次ぐ水準となる。

政府は2次補正で、脱炭素化や先端半導体開発、デジタル分野への補助金など企業の投資を促す施策に計約7兆円を確保。関連予算の執行による投資拡大によって経済を底上げし、賃金上昇につなげたい狙いもある。政府は、今後も定期的に官民連携フォーラムを開くなどして、効果的な政策対応にもつなげたい考えだ。

経済界は岸田文雄政権の要請に応じ、企業に国内投資の拡大や賃上げを促したい構えだ。「イノベーション(革新)は民間が主導すべきだ」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)と、経済再生に向けた積極的な行動を企業に促す声も上がる。

経団連のシンクタンク、21世紀政策研究所は、国内の需要不足で企業の海外進出に拍車がかかり、一層の需要低迷と賃金の伸び悩みを招いてきたとした上で、悪循環の打破には大胆な財政支出で需要を増やし、投資を喚起する必要があると指摘。経団連の十倉雅和会長は「日本経済を強靱(きょうじん)なものとすべく、民間の投資意欲が湧くような環境整備に努めてほしい」とする。

具体的には、脱炭素化を推進するグリーントランスフォーメーション(GX)やデジタル技術の活用を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギー分野などへの財政支出を要請。岸田政権がそれに応える政策を「力強く進めている」(十倉氏)と評価してきた経緯がある。

30年以上の長期低迷から日本経済が脱するのは「今がラストチャンス」(桜田氏)と、経済界の危機感は強い。企業の国内投資が拡大するかどうかが、日本経済の先行きを握る鍵の一つとなるのは間違いない。(永田岳彦、村山雅弥)

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