ロシアのプーチン大統領を「侵略罪」で裁くことを目指すウクライナ特別法廷の設置案が国連総会で浮上している。欧州連合(EU)の欧州委員会が「国際刑事裁判所(ICC)では、最高指導者による侵略罪を訴追できない」として設立を目指す方針を発表。フランスやバルト諸国が支持し、現実味を帯びてきた。米国は態度を保留している。(パリ 三井美奈)
管轄権の壁
ロシア軍の戦争犯罪をめぐっては、ICC検察官が現在、日欧などICC加盟国やウクライナの付託を受けて捜査を行い、「人道に対する罪」やジェノサイド(集団殺害)での立件を目指している。ICCは侵略罪も裁けるが、その場合、規程により管轄権は加盟国にしか及ばない。非加盟国の場合、国連安全保障理事会の決定を必要とする。