<独自>ODA拡充へロードマップ策定提言 外務省の有識者懇報告書の全容判明

途上国への政府開発援助(ODA)の指針となる「開発協力大綱」の改定に向け、外務省の有識者懇談会がまとめた報告書案の全容が8日、判明した。政府のODA予算について「日本外交の最重要手段の一つとしてODAを戦略的に活用すべく、質・量ともに拡充を図る」ことを求め、国際目標に見合った予算を確保するためのロードマップ策定を提言した。

日本のODA予算は、平成9年度の1兆1千億円超をピークに、近年は5千億円台で推移。国連は国民総所得(GNI)比で0・7%のODA予算確保を各国に求めているが、日本は0・3%台にとどまる。

報告書では、現大綱について「ODAの量に言及しているものの不十分」と指摘。その上で「国際目標をいつか達成すればよい目標としてはならず、『今後10年でGNI比0・7%を達成する』など達成年限を明確に設定」し、中間報告を設けるなど具体的な道筋を示すことを求めた。

日本はODAを効果的に活用し、途上国を引き込むことも課題となっている。日本はアジア諸国などに法の支配など普遍的価値の重要性を説いてきたが、ロシアのウクライナ侵略後、国連の対露非難決議で棄権に回る国が続出したためだ。

報告書では、途上国へのアプローチについて「外交上の重要なツールである開発協力の効果的な実施、特にODAの戦略的活用が求められる」と明記。日本の開発協力政策は「自由で開かれたインド太平洋」の実現にも寄与することを強調した。

また、途上国に影響力を強める中国を念頭に、「経済的依存を利用した威圧の試みなど、経済と安全保障が直結して各国に影響を及ぼしている」と指摘。サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化や透明・公正な開発金融などの国際スタンダードを普及するため、先進7カ国(G7)や日米豪印の枠組み「クアッド」と連携していくことの重要性も盛り込んだ。

ODAの戦略性強化に向けては、途上国の実情から乖離(かいり)した支援策を見直し、「選択と集中」の工夫を重ねることも提案。日本の強みである「質の高さ」を発信するため、充実した支援メニューを提示する「オファー型支援」の強化を新大綱に盛り込むよう求めた。

災害救助などの非軍事分野であれば、軍が関与していても援助を可能とする現大綱の原則については「堅持すべきだ」と明記。一方、「開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う」とした現大綱の実施原則については、安全保障上、やむを得ず国防費を増額する国もあることを想定して検討することを求めた。

有識者懇は、学識者や経済界、非政府組織(NGO)の関係者ら計8人で構成し、今年9月以降4回にわたり議論を重ねた。9日に林芳正外相に報告書を手交し、政府はこれを基に改定作業を進め、来年前半に改定大綱を閣議決定する。

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