大阪府羽曳野市教育委員会は8日、世界遺産の百舌鳥(もず)・古市古墳群を構成する同市の峯ケ塚(みねがづか)古墳(5世紀末、前方後円墳)で、国内最大となる木製埴輪(はにわ)が出土したと発表した。長さ352センチで、これまで最大だった木製埴輪を約90センチ上回る。
今回発見された木製埴輪は、「石見型(いわみがた)木製品」と呼ばれる種類のもので国内での出土は16例目、同古墳群では初めて。権力者の象徴である玉杖(ぎょくじょう)などをかたどったとみられ、被葬者の権威を示したり、邪気を払ったりする意味があったと考えられるという。
長さ352センチ、幅75センチ、厚み8センチで、当時貴重な木材だった高野槙(こうやまき)で作られていた。地面に立てて使うため、さらに1メートルほど長かったと推定できるという。これまでの最大は御墓山(おおはかやま)古墳(奈良県天理市)で出土した木製品(長さ263センチ、幅48・5センチ)だった。
古墳時代の木製品の研究を行っている奈良県文化財保存課の鈴木裕明課長補佐は「古墳造りの先進地域だった古市古墳群から木製埴輪が発見されたことで、この地域から各地へ広がった可能性も考えられる」と話している。
峯ケ塚古墳は全長96メートル。被葬者は墳丘規模や副葬品などから、トップクラスの大王に準じる位の人物とみられている。市教委は令和元年度から3年度にかけて、前方部と後円部の境にある造り出し部で発掘。円筒埴輪のほか、木製品の一部を確認していた。今年は発掘区を拡張して掘り出したところ、木製埴輪と分かった。
市教委は10日午前10時~午後3時に現場見学会を行う。