
20センチ砲を搭載したドイツ海軍の重巡洋艦として1940年に就役、戦艦「ビスマルク」とともに活躍した。先の大戦は生き残ったが、アメリカによる太平洋のビキニ環礁での原爆実験では、日本の戦艦「長門」などとともに標的艦となり、その後、曳航中に転覆沈没した
クワジェリン環礁に眠るドイツ海軍のアドミラル・ヒッパー級巡洋艦三番艦「プリンツ・オイゲン」は終戦後、アメリカ軍に接収され、「プリンス・ユージン(「ユージン」は「オイゲン」の英語読み)」となって調査を受けた後、ビキニ環礁での核実験の標的艦として使用された。
プリンツ・オイゲンは二度の核爆発によっても沈没しなかったために、調査と除染の目的でクワジェリン(南太平洋マーシャル諸島ラリック列島にある環礁)まで曳航されたが、損傷部からの浸水があり、沈没を防ぐために浅瀬に座礁させられた。現在も逆さまの状態で、当時のままの姿を見ることができる。
艦尾のプロペラなどは未だ水面に出ており、艦首で水深36メートルである。
水中写真家・戸村裕行
1982年、埼玉県生まれ。海底に眠る過去の大戦に起因する艦船や航空機などの撮影をライフワークとし、ミリタリー総合誌月刊『丸』にて連載を担当。それらを題材にした写真展「群青の追憶」を靖國神社遊就館を筆頭に日本各地で開催。主な著書に『蒼海の碑銘』。講演、執筆多数。

雑誌「丸」
昭和23年創刊、平成30年に70周年迎えた日本の代表的軍事雑誌。旧陸海軍の軍
艦、軍用機から各国の最新軍事情報、自衛隊、各種兵器のメカニズムなど幅広
い話題を扱う。発行元の潮書房光人新社は29年から産経新聞グループとなった
。毎月25日発売。