日本サッカー新時代

㊥森保マジック戦術がらり 控え組充実、交代5枠フル活用

ドイツ戦の後半、ゴールを決めた堂安(8)を祝福する日本代表イレブン。選手交代の戦術がピタリとはまった=ハリファ国際競技場(蔵賢斗撮影)
ドイツ戦の後半、ゴールを決めた堂安(8)を祝福する日本代表イレブン。選手交代の戦術がピタリとはまった=ハリファ国際競技場(蔵賢斗撮影)

前半を耐えしのぎ、後半に牙をむく-。ドイツ、スペインを撃破し、前回準優勝のクロアチアとPK戦にもつれる接戦を演じた背景には、日本の「カメレオン」のように柔軟で大胆な戦術変更があった。

1次リーグ初戦のドイツ戦が象徴的だった。防戦一方だった前半を終えると、森保監督は冨安(アーセナル)を投入し、同時に布陣を4バックから3バックに変更。さらに、浅野(ボーフム)や堂安(フライブルク)らアタッカー陣を続々投入し、〝超攻撃的布陣〟で逆転勝ちにつなげた。

カギとなったのは選手交代のルール変更だった。新型コロナウイルスによる過密日程対策を契機に、今大会は交代枠が「3」から「5」に増えた。これまで負傷や疲弊などで使っていた交代カードを、森保監督は戦術変更のスイッチとして活用してみせた。

突破力のある三笘(ブライトン)を試合の流れを変える〝切り札〟に、守備力の高い冨安はリリーフに起用するなど「5枠」をフル活用。1次リーグの全4得点は後半に生まれ、うち2得点を挙げた堂安ら、いずれも途中出場の選手が積極的に関わった。

こうした戦い方は、充実した控え組がいてこそ成り立つ。森保監督は「8強入りには2チーム分くらいの戦力が必要」と考え、前回ロシア大会直後に就任して以降、国内外の若手からベテランまで計120人以上の選手を招集。4年をかけて「いい守備からいい攻撃」という基本コンセプトを浸透させてきた。監督を兼任した東京五輪代表も巧みに融合させ、戦力の底上げを図ってきた。

4大会連続出場の長友(FC東京)は「誰がどこで出てもおかしくない。僕が逆(対戦相手)の立場で今の日本を見たとしたらカメレオンのような戦術にみえる」と選手層の厚さを誇る。堂安、三笘ら9人(オーバーエージ枠を除く)は東京五輪組。4年間の積み上げがあってこそ、大幅な選手交代でも崩れないチームができあがったといえる。

4年間をフルに活用し、W杯に向けてチームを育て上げた日本人監督は、森保監督が初めて。五輪代表との兼任は2002年日韓大会のトルシエ監督以来だ。

日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「これほど代表監督を長期的な視野でやったのは初めて。そういうのをやっていかないといけない」と、次世代の育成も見据えた強化の重要性を強調。さらに4年後、まだ見ぬ目標達成へ。日本の道標となる大会になった。(川峯千尋)

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