物価高で企業に賃上げ気運 ノジマなどベア先行実施

食品などの物価高を背景に、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の前倒しに踏み切る企業が増えている。物価上昇に賃上げが追い付かない現状では、実質的な賃金は目減りし、生活の負担感が増す。「インフレ手当」の支給企業も増えており、柔軟な対応によって社員の生活を支え、実質賃金減少の影響を最小限に抑える考えだ。

家電量販店のノジマは今月、例年4月の給与改定を前倒しした上で、契約社員を含む約3千人の社員を対象に一律2万円の賃上げを実施する。7月支給分の給与から導入している月1万円の「物価上昇応援手当」を基本給に組み込んだ上で1万円を増額。平均ベア率は6%となる。

セコムは令和5年春闘を待たずに11月分の給与からベアを実施。単体の組合員約1万4千人を対象に、一律で月額2千円を引き上げる。また岩井コスモホールディングス(HD)も、賃上げの実施時期を5年7月から半年前倒しする方針。賃上げ率は、定期昇給とベアなどを合わせ最大4%超を想定している。

一方、インフレ手当などの臨時手当を支給する動きも広がる。

三菱自動車は2日に「特別支援金」を支給。管理職を除いた正社員に10万円、期間従業員やアルバイトにも7万円を支払った。支給総額は約13億円に上るといい、同社関係者は「他社よりも賞与の水準が低く、特別支援金はそれを補う意味合いがある」と話す。

ほかにも日本特殊陶業は11月、グループ会社を含む国内従業員約8800人に特別支給金を支給。正社員は5万円、契約社員やパート社員は2万円を受け取った。また三菱ガス化学も11月、正社員や嘱託社員ら約1900人を対象に1人当たり3万~6万円の一時金を支給している。

帝国データバンクが11月に実施した調査(有効回答1248社)によると、物価高を受けて社員に手当てを支給した企業は、支給予定も含めて12・3%に達した。生活の下支えだけでなく、社員の士気向上につなげる狙いもあるようだ。ただ、一時的な手当てより着実なベア実施を優先するよう求める声も多く、今後どこまで増えるかは不透明だ。

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