大手電力、政府補助上回る値上げ幅申請 懸念される春の負担増

大手電力5社が申請した家庭向け料金(規制料金)の値上げ額はいずれも政府が来年1月から始める支援策を上回る。経済産業省は値上げ幅を圧縮し利用者の負担軽減を図る考えだ。ただ、ウクライナ危機の長期化などに伴う燃料高で各社の経営状況は軒並み悪化している。電力の安定供給に支障をきたさない範囲で、値上げ幅をどこまで圧縮できるかが焦点だ。

「値上げの中においても家庭、企業の方が値下げを実感できるよう取り組んでいきたい」。11月25日の会見で、西村康稔経産相は規制料金の値上げ申請に対して、こう強調した。

政府の総合経済対策と令和4年度第2次補正予算に盛り込まれた支援策は、家庭の現行の電気料金の2割程度の1キロワット時あたり7円を補助する仕組みだ。各社の標準的な家庭のモデルで試算すると月1610~1820円の負担減となる。

ただ、5社の値上げ幅は標準的な家庭のモデルで月2205~3473円で、政府の支援策だけでは値上げ分をカバーできない。加えて、政府が支援策を続けるとしているのは来年9月分の料金までだ。値上げ幅が圧縮できなければ、来秋以降、利用者の大幅な負担増にもつながる。

過去の規制料金の値上げでは、審査の過程で値上げ幅が数ポイント圧縮されて認可されている。ただ、今回は値上げ幅が大きく、数ポイントの圧縮と政府の支援策だけで全ての負担増を〝肩代わり〟するのは難しい見込み。

また、来年4月以降とする値上げの実施時期も焦点だ。5社がほぼ一斉に値上げ申請を行った例は近年はほとんどなく、経産省は東京電力福島第1原発事故後の規制料金値上げの審査に関わった職員を応援で投入することも検討する。時期と値上げ幅を含め、経産省には、事業者も利用者も納得できる厳格かつ迅速な審査が求められる。(永田岳彦)

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