防衛費増額を巡る政府内の攻防は今年夏から続いていた。主戦場は令和5年度から5年間の防衛力整備に必要な総経費だ。防衛費の「相当な増額」を掲げた岸田文雄首相の方針を受けて防衛省が大胆な増額を求め、これに財務省が抵抗する構図だった。
「前例踏襲の発想はやめて、とにかく必要なものを全部出せ」
防衛省内で最初にはじき出した金額は、5年間で計55兆円だった。単純計算すれば、5年間を通して防衛費は対国内総生産(GDP)比2%に達する。ただ、防衛省関係者ですら「相当無理をした。防衛省の予算執行能力を超える額だった」と振り返る。精査した結果、8月末には48兆円に収まっていた。