「電気コードでたたかれ…」虐待被害の宗教2世、団体設立で対応訴える

会見する宗教2世問題ネットワークのメンバーら=7日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影、画像の一部を加工しています)
会見する宗教2世問題ネットワークのメンバーら=7日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影、画像の一部を加工しています)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る被害者救済法案が今国会で成立する見通しとなった7日、親が信者の「宗教2世」らが東京都内で会見を開き、教義順守の名目で受ける虐待に関する対応の必要性を訴えた。

高額な献金対応などに法整備の軸が置かれているとし、国への要望などをとりまとめる団体を設立。関係機関などへ被害実態の啓発も進めていくとしている。

団体は「宗教2世問題ネットワーク」。親が旧統一教会やその他の宗教の信者である宗教2世10人と、弁護士1人が参加した。

会見で、副代表の宗教2世、山本サエコさん(仮名)は「痛感したのは被害者の声を個人で国に届ける難しさ。匿名の被害者として個人で活動をするのには限界がある」と団体設立の経緯を説明。代表を務める団作さん(同)は「(自分たちに)声掛けしてもらえれば、団体を通じ、被害を訴えることができると思う」と、他の宗教2世らに活用を呼びかけた。

メンバーからは、現在審議されている救済法案について、政府が想定する被害者像と実際の被害実態が大きく乖離(かいり)しているとの指摘も出た。高橋みゆきさん(同)は、「法整備が献金問題を中心に進んでいる」と主張したうえで、「宗教によって苦しめられている子供の問題について、責任を持って解決を推進していきたい」と述べた。

会見に先立ち、団体は6日、消費者庁へ、現在審議が進む救済法案に対する要望書を提出。現在、法施行後2年を目途としている見直し期間を1年とし、法律の実効性などについて適宜、調査するよう求めた。

団体は今後、ユーチューブなども通じ、情報発信をしていくという。

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宗教の教義に基づく虐待行為に対し対応を求めた7日の会見では、宗教2世が自身のつらい体験を振り返った。同様の訴えはすでに方々から上がっており、支援の必要性が改めて浮き彫りとなった。

「宗教の集まりの途中に居眠りをすると、自宅で電気コードでたたかれた」

この日、団体設立が発表された「宗教2世問題ネットワーク」代表の団作さんは会見で、小学生時代の自身の経験を打ち明けた。

宗教2世ら千人以上を対象とした民間団体の実態調査では、「裸足でたき火の上を歩かされた」など身体的な虐待行為のほか、「布教に専念するためフルタイムでの勤務を避けるよう求められた」など、人生の選択肢を制限されたケースの報告もあった。

「支援や法整備について必要と思うもの」という問いに対しては、「子供でも親や教団から安全に離れられる制度の整備」(73%)が最多だった。

さらに、全体の約9割が小学生の時点で入信、3分の2が6~9歳で教団行事への参加を強要されたと回答した。団作さんも、物心ついたときから集会や布教活動に参加させられていたという。

団体メンバーの高橋みゆきさんは会見で、自身の結婚に際し、宗教法人側から「地獄へ行く」と言葉をかけられたと明かした。

このため、「成人した2世に対する権利を守ることも大事になると思う」と指摘。幼少期から社会との接点を持たないよう求められ、成人後もコミュニケーションが図れず孤立している場合もあるとし、「社会復帰に向けた支援という観点も非常に大事になる」と訴えた。

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