2001年の米中枢同時多発テロ(9・11)やイスラム国(IS)による事件などもあり、中東諸国にネガティブなイメージを抱く日本人もいるだろう。ただ実感は異なる。カタール入りして2週間以上が過ぎたが、治安はかなり良いという印象が強い。実際、夜中や未明に1人で街中を出歩いても身の危険を感じたことは一切ない。
「もともとカタールは犯罪は少ないから安心」。現地の人はこう口をそろえる。外国人観光客を狙った窃盗や強盗などが起きたというニュースは耳にしないし、大きな暴動も発生していない。
サッカー・ワールドカップ(W杯)に合わせ、カタール政府はトルコから3千人超の機動隊員を派遣してもらうなど、多くの外国人が競技場周辺などの警備にあたっている。人口約280万人のうち、労働力の大半を外国人が担うカタールらしい手法といえる。
試合観戦後は各競技場から地下鉄やバスを利用して帰宅することが多いが、道中かなり混雑するため、雑踏事故などの不安も頭をよぎる。ポルトガル対ウルグアイという好カードが行われた11月28日夜には、競技場に満員の8万8668人が詰めかけた。混乱も予想されたが、少なくとも100人以上の機動隊員や警備員が動員され、一方通行の徹底に加えて、規律正しく地下鉄まで観客を誘導していた。