社説検証

中国のゼロコロナ抗議 産朝は体制上の原因を指摘 各紙が柔軟な政策修正促す

白紙を掲げ、ゼロコロナ政策や強権体制への批判を行うデモ参加者 =11月27日、北京(ロイター)
白紙を掲げ、ゼロコロナ政策や強権体制への批判を行うデモ参加者 =11月27日、北京(ロイター)

中国で厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策への抗議デモが拡大し、上海では「習近平退陣」や「共産党退陣」といったスローガンが叫ばれた。政府批判が犯罪行為とみなされる中国でこれほどの規模のデモは1989年の天安門事件以来とされる。

看板政策を否定された習政権は警察力を動員してデモの封じ込めを図る一方、制限緩和にも乗り出した。だが、一度噴出した国民の怒りはこれで収まるのか。3期目入りの直後、政治情勢の悪化に見舞われた習政権が対外強硬策に出る恐れも懸念される。

各国がコロナとの共存を前提に政策を展開する中で、中国はゼロコロナ政策に固執して今回の事態を招いた。

一連の抗議活動の背景にある体制上の本質的な問題について、踏み込んで指摘したのが産経と朝日である。

産経は「最大の問題は、状況の変化や民意を無視し続け、ゼロコロナにこだわり続けた習政権の硬直性にある。共産党独裁体制の欠陥だ」と断じた。朝日も中国共産党の一党支配について「自ら誤りを修正しにくい危うさを持つ体制である」とした。

習政権が、ゼロコロナ政策による感染の封じ込めを「体制の優位」と喧伝(けんでん)してきた経緯については、多くの社説で批判的に論じられた。

産経は、習氏が「中国共産党の指導とわが国の社会主義制度の顕著な優位性を示している」と語った2年前の演説を取り上げ、「西側諸国との比較で自賛してきた『体制の優位』が、国民によって否定された」と説いた。

朝日も「大勢のコロナ犠牲者を生んだ欧米に対し、中国共産党統治の優位性を内外に示す格好の材料としてきた経緯もある」と記し、読売も「習氏が『ゼロコロナ』による感染封じ込めを、欧米に対する体制の優位の表れとして権威向上に使ってきた」と解説した。

各紙は、一連の抗議活動が異例で深刻なことにも言及した。産経は「共産党が厳しい言論統制を敷く監視国家で、これほど直接的な政権批判が出ることは極めて異例だ」と指摘し、東京も「共産党一党独裁の中国で、党や最高指導者を街頭で直接批判するのは極めて異例だ」とした。

経済に及ぼす悪影響については、日経が中国国内の工場で抗議活動や操業停止によって生産に支障が出ていることを取り上げ、「一連の動きは減速が目立つ中国経済の一段の下押し要因になる。中国が関わる世界的なサプライチェーン(供給網)も打撃を受けよう」と警告した。東京も「今年一~九月期の経済成長率は前年同期比3・0%で、政府の年間目標『5・5%前後』の達成は絶望的である」との見通しを示した。

各紙は柔軟な政策修正を促した。産経は、習政権に必要なのは「抗議を真摯(しんし)に受け止め、柔軟なコロナ政策に切り替え」ることだとし、「勇気を出して声を上げた人々を弾圧する資格はないと知るべきである」とも訴えた。

朝日は「感染対策の政治利用を戒め、政策を修正できる柔軟さを備えるべきだ」と強調した。読売も「ウイルスの毒性の強さや感染状況に応じて規制にメリハリをつける政策は、日米欧をはじめ、世界の多くの国々が採用し、効果を上げてきた。習政権に欠けているのは、こうした柔軟さである」とし、欧米製ワクチンの導入など「国際社会との協力」を求めた。

さらに産経は習政権が、批判をかわすため「尖閣諸島(沖縄県)や台湾、南シナ海などで対外強硬策に出る恐れ」に言及し、「日本と世界は備えを怠ってはならない」と警戒を呼び掛けた。(長戸雅子)

■ゼロコロナ政策への抗議をめぐる主な社説

【産経】

・独裁体制の欠陥は明白だ(11月30日付)

【朝日】

・市民の苦境と向き合え(11月29日付)

【読売】

・修正を迫られる「ゼロコロナ」(11月30日付)

【日経】

・「白紙」が示す中国の人権意識に注目すべきだ(12月1日付)

【東京】

・政権批判の兆候を見よ(11月30日付)

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