児童手当拡充を明記 全世代型社会保障会議報告書案

政府の有識者会議「全世代型社会保障構築会議」(座長・清家篤元慶応義塾長)は7日、改革の方向性を盛り込んだ報告書案を示した。少子化対策を重視し、将来的な課題として児童手当の拡充を検討するよう明記し、75歳以上の後期高齢者の医療保険料引き上げの検討などを求めた。給付が高齢者、負担が現役世代に偏る現状を是正し、社会保障制度を維持するのが狙い。

年内に取りまとめ、岸田文雄首相がトップを務める「全世代型社会保障構築本部」に提出する。本部は社会保障制度の中長期的な改革工程表の作成を目指す。

報告書案は、子育て支援については「0~2歳児に焦点を当てた切れ目のない支援」を構築した後の課題として、現在、中学生以下に1人当たり原則1万~1万5千円を支給している児童手当の拡充を挙げ、恒久的な財源の検討を求めた。育児休業給付の対象外となっている自営業やフリーランスに対する子育て支援給付の創設も提言した。

岸田政権が掲げる「勤労者皆保険」に関し、厚生年金加入者の拡大を巡り「週の労働時間が20時間以上30時間未満」の人が入るための企業規模要件の撤廃を求めた。

医療・介護制度改革では、75歳以上の医療保険料を所得に応じて引き上げることを提言する一方、介護保険制度については「給付と負担のバランスを不断に見直していく」とするにとどめた。患者に身近な「かかりつけ医」の機能が発揮される制度整備の早期実現も盛り込まれた。

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