河野太郎大臣が壁?カルテルの中国電、値上げ申請

河野太郎消費者担当相=7日午前、国会内(矢島康弘撮影)
河野太郎消費者担当相=7日午前、国会内(矢島康弘撮影)

家庭向け電気料金の値上げを申請している大手電力5社のうち、中国電力は事業者向け電力販売でカルテルを結んだとして、公正取引委員会から独禁法違反(不当な取引制限)で700億円超の課徴金納付命令を出す処分案を通知されている。同社は「値上げ額の算定に課徴金は含めていない」としているが、電力自由化をないがしろにしたと指摘される中での値上げ申請。消費者からの反発が予想される上、「脱原発」が持論の河野太郎消費者担当相が値上げのハードルになるのではとの懸念も関係者から上がっている。

「電力自由化という観点から大きな問題。課徴金が消費者に負担にならないように、しっかりみていかなければならない」

カルテルを巡る課徴金通知を中国電と中部電力、九州電力の3社が受け取った翌日の今月2日、河野担当相は記者会見でくぎを刺した。関係者は「脱原発が持論の河野氏は大手電力に厳しく、値上げにも厳しい態度を取るのではないか」とささやく。

中国電は11月25日、家庭向け規制料金について平均31・33%の値上げを申請。標準的な家庭(月間使用量260キロワット時)で1カ月当たり2399円の負担増となる。標準的な事業者向け料金メニューも来年4月から約16~17%値上げする。

家庭向け電気料金の値上げは経済産業省の会議に加え、消費者への公聴会、有識者の消費者委員会などで審議が行われる。関係者は「値上げ申請と課徴金通知の時期が重なったことは、中国電にとって最悪のタイミング」と指摘する。

中国電は申請に当たり、令和5年度から3年間の燃料費や購入電力料などの電力供給原価を算出して値上げ額を決定。「課徴金負担は予定していなかった。今後も原価に含めることはない。電気料金とは別物と考えている」と説明する。

ただ、課徴金700億円超は中部電とグループ会社の計約275億円、九電の約27億円に対し飛びぬけて多額。中国電は5年3月期で707億円の特別損失を計上して連結業績予想を引き下げ、2097億円の最終赤字を見込む。

カルテルは関西電力が3社それぞれと結び、関電は違反申告で課徴金を免れたとみられる。関電と供給区域が隣接する中国電はカルテルの合意範囲が広域に及んだことから、突出した課徴金額となったようだ。

燃料費高騰などで苦しい経営にさらなる打撃となったことは間違いなく、電力供給が不安定化すれば、将来的に再度の値上げという形で消費者に負担がのしかかってくるおそれもある。(牛島要平)

中国電力、特別損失707億円計上へ カルテル課徴金処分案で

会員限定記事会員サービス詳細