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切り札不在だったスペイン 北條聡氏

PK戦の末にスペインを破り、一目散に駆け出すモロッコの選手たち=エデュケーション・シティー競技場(共同)
PK戦の末にスペインを破り、一目散に駆け出すモロッコの選手たち=エデュケーション・シティー競技場(共同)

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会第17日は決勝トーナメント1回戦で、強豪スペインがアフリカの刺客モロッコにしてやられた。前回のロシア大会に続くPK戦負け。王座奪回は幻に終わった。

敗因は点が取れなかったこと。その一点に尽きるかもしれない。何しろ、前半からゲームの主導権を握って攻め続けたのだ。

事実、ボールの保持率は63%。〝ティキタカ〟と呼ばれる巧みなパスワークで、敵陣深く押し込んだ。

とはいえ、枠内に飛ばしたシュートはわずか1本。モロッコの3本を下回る数だ。いくらパスをつないでも、肝心のフィニッシュに持ち込めなかった。

敵の防壁を内側から破壊するのがスペイン流。中盤のペドリとガビはそのカギとなる〝トロイの木馬〟だったが、相手守備陣に厳しくマークされ、防壁の外側へと押し出された。

初の世界制覇から12年。広くスペイン対策が進んだ結果、日本やモロッコといった伏兵にも寝首をかかれる時代となった。

今後、伝統のパスワークに加え、攻めあぐねたときの切り札を持てるかどうか。サイドから独力で敵の防壁を崩す強力なアタッカーがそれだ。格下を蹴散らし、悠々とベスト8に勝ち上がったブラジルやフランスのように。(元週刊サッカーマガジン編集長)

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