朝晴れエッセー

カラス・12月7日

朝の散歩をしているときだった。一羽の大きいカラスがゴミ袋をつついていた。カラスがゴミ袋をあさった後の悲惨な状態を想像しながら、カラスと目が合わないように歩みを速めた。カラスに頭部をわしづかみされた経験がある私は、カラスは怖くて苦手な生き物だった。

ふと、長男が小学生のときのことを思い出した。学校から帰るなり「カラスは有害、無害、どちらだと思う?」と興奮気味に質問してきた。ディベートの授業があったらしい。カラスが苦手な私は返答に困り、「あなたはどう思う?」と息子に聞き返した。

人間の立場からみたら、カラスは悪いことをしているけど、自分の子供を育てるために生ごみの餌が必要だし、人を襲って巣に近寄らないように威嚇しているのだから、カラスも頑張っている。人間の親と同じだよ。有害としてしまうのはかわいそう、と息子の意見だった。息子よ、君も両親に守られていることを理解している?と言いたいところは、いい話に水を差すようで我慢した。クラスの中で意見は割れ、カラスの存在を否定する意見もあり、カラスがかわいそうと泣き出す子もいたようだ。

カラスの歌がある。「カラスは山にかわいい七つの子があるからよ」。息子の言う通りカラスも人間と同じ、子育てを頑張っているのだ。でも場所は山だよな。自然破壊のせい? カラスを山に帰す方法がないのかなんて考えながら散歩を終えようとした。なんと、わが家のゴミ袋をあさるカラスが私を出迎えた。「カラスは有害か無害か?」。私の中で永遠のテーマになった。

上辻好美(60) 千葉県市川市

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