冷凍保存の受精卵で無断出産 大阪高裁がクリニックに賠償命令

大阪高裁=大阪市北区
大阪高裁=大阪市北区

冷凍保存した受精卵を無断で元妻の子宮に移植したのは違法として、元夫の男性が、手術を施した京都市内のクリニック側に慰謝料や生まれた子供の養育費など計約3200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が7日、大阪高裁であった。水野有子裁判長はクリニック側に330万円の支払いを命じた1審京都地裁判決を支持し、控訴を棄却した。

1審に続き、男性には「子供をいつ誰ともうけるか」を決める権利があると認定。同意なく手術したことは自己決定権の侵害として慰謝料の支払いを命じたが、養育費の請求は退けた。

クリニック側は、元妻が「(男性は)海外にいるが同意している」と虚偽の説明をしたとして、「同意がないことを想定するのは不可能」と反論していた。判決理由で水野裁判長は、医師には男性の同意を確認する義務があったと指摘。「必要な手続きを怠り、元妻の説明を軽信した」と過失を認定した。

一方、男性側が「意に反して扶養義務を負わされた被害の回復は当然」として求めていた養育費については、「出生の影響を金銭的に算定できない」とした。

判決によると、2人は婚姻関係があった平成28年、クリニックで不妊治療を受け、受精卵の冷凍保存に同意。その後、オーストラリアに移住したが、元妻は一時帰国した30年1月に無断で移植手術を受け、男児を出産した。2人は今年1月に離婚。親権は共同で持っているが、男児は男性と同居している。

受精卵を無断で移植、出産 元妻に賠償命令 大阪高裁

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