来年1月にNHK会長に就任する元日本銀行理事の稲葉延雄氏(72)が6日、東京都渋谷区のNHK放送センターで記者会見に臨み、「デジタル化の大きなうねりに多くの企業が翻弄され、NHKも例外ではない。生き残りをかけた努力が問われており、国民の皆さまから信頼をいただくことが大事だ」と語った。
稲葉氏は日銀で理事などを歴任。過去に日銀法の改正に携わった際には放送法を参考にしたといい、「『NHKの会長に』という話は今回突然来たが、その際、頭に浮かんだのはこの出来事。放送法の高い理念に感銘を受けたのを今も覚えている」と振り返った。
「独立性が求められる日銀での経験は、不偏不党を掲げるNHKでも重要。NHKの使命にはある種の親近感を抱いている」とも語り、平成20年のリコー特別顧問転身で「日銀と民間企業、いずれの経験も役に立つと思う」とした。
現在の前田晃伸(てるのぶ)会長(77)が受信料の過去最大幅の値下げに着手したことなどについては「思い切った改革の方向性をお示しになった」と評価。一方で受信料収入の減少などの課題もあり、「若干のほころびが見つかるかもしれない。ベストな姿を見つける作業が残っている」と述べた。
好きなNHK番組は、6歳の孫も好んで見ているという「ダーウィンが来た!」。「財務の健全性を確保し、良質なコンテンツを作り続ける組織を支えることが大事だ」と力を込めた。(本間英士)