会員選考に第三者関与 政府が日本学術会議の見直し方針発表

日本学術会議の建物=午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)
日本学術会議の建物=午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)

政府は6日、日本学術会議の組織形態見直しを巡り、改革の方針を発表した。焦点となっていた「国の特別の機関」である現在の形態は維持する一方、会員以外の第三者が新会員を推薦できる仕組みを導入するなどして、組織の透明性の向上を図る。関連法案の来年の通常国会への提出を目指す。

後藤茂之経済再生担当相は同日の記者会見で「政府と学術会議が連携を深めて取り組むことが、科学技術立国の実現には不可欠だ。透明かつ厳格な自己評価を行う仕組みを整備していく」と述べた。

学術会議の見直し議論は、菅義偉前首相による会員候補6人の任命拒否を機に本格化した。自民党のプロジェクトチーム(PT)は政府から独立した法人格とするよう提言していたが、今回の政府方針では切り離しを見送り、国の機関として残した上で改革を加速すると結論付けた。

現行の仕組みでは、新会員は学術会議の会員らの推薦に基づいて任命されるが、会員以外の第三者も選考に関与できる仕組みにする。さらに、運営状況を外部から評価する機能を強化。関連法の施行から3年後と6年後をめどに、国とは別の独立した組織とすることも含め、必要な措置を再検討する。

学術会議は8日に開く総会などで政府方針に対する対応を協議する予定。学術会議内部では方針の見直しで独立性が損なわれかねないと反発する向きもある。

日本学術会議 日本の科学者を代表する組織であり、「国の特別の機関」として政府から独立した立場で政策の提言などを行う。会員は特別職の国家公務員で任期は6年。3年ごとに半数が改選される。学術会議は会員の候補者を推薦し、首相はそれに基づいて任命してきたが、軍事科学研究を「絶対に行わない」とした過去の声明を継承するなど、組織の在り方を疑問視する声が出ていた。

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