「未来、すべて奪われた」 北新地放火1年で遺族がコメント

記者会見で被害者支援の拡充を訴える「犯罪被害補償を求める会」のメンバー=6日、大阪市(中井芳野撮影)
記者会見で被害者支援の拡充を訴える「犯罪被害補償を求める会」のメンバー=6日、大阪市(中井芳野撮影)

クリニックの患者ら26人が犠牲になった大阪・北新地のビル放火殺人事件から17日で1年となるのを前に、遺族の女性2人が6日、犯罪被害者らでつくる「犯罪被害補償を求める会」(神戸市)を通じ、心境をつづったコメントを出した。同会が大阪市内で開いた記者会見で公表した。

コメントはいずれも匿名。女性2人は、それぞれ夫を亡くした。うち1人の女性は「全く知らない赤の他人に、命も、思い描いていた未来も全て奪われた」と谷本盛雄容疑者=死亡、当時(61)=への激しい憤りを吐露した。

たわいもない日常はあの日から奪われた。「もう私の手を取る人はいません。私は生涯のパートナーを失い、子は大好きな父親を失いました」。いまも自宅には夫の服や靴、歯ブラシなど全てをそのまま残しているといい、「あの楽しかった日常に戻りたいです」と悲痛な思いをつづった。

もう1人の女性は、再就職に向けて通院していた夫を思い、「毎晩仏壇に語りかけ、返事がないことに涙する日々」という。「彼がいたはずの家族の誕生日や子供の行事に、この先もずっと『彼がいない』ことがわが家の形になることに、実感せざるを得ない日々だった」と無念さを語った。

また、現行の犯罪被害者等給付金制度が、給付金の算定基準が被害当時の収入で決まることを問題視。夫が無職だったことから、「あなたの家族の命の価値は軽いといわれたように思いました」と訴えた。

同会も会見で「国が早急に支援を整える必要がある」と指摘した。

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