距離ある江氏、鄧小平氏並の扱いで送る 習氏自身の権威強調か

6日、中国・北京の人民大会堂で開かれた江沢民元国家主席の追悼大会で、弔意を示す習近平国家主席(中央)。中国国営中央テレビ(CCTV)の映像から(AP)
6日、中国・北京の人民大会堂で開かれた江沢民元国家主席の追悼大会で、弔意を示す習近平国家主席(中央)。中国国営中央テレビ(CCTV)の映像から(AP)

【北京=三塚聖平】中国の江沢民元国家主席の追悼大会が6日に行われ、習近平国家主席は「崇高な威光と人望を持つ卓越した指導者」とたたえた。近年、習氏と江氏の間には距離があったが、改革開放政策を進めた鄧小平氏と並ぶ扱いを演出した。鄧氏の存在を希薄化し、習氏自身を「建国の父」である毛沢東氏と並ぶ指導者として権威を強化する狙いもうかがわれる。

香港紙、星島日報(電子版)は6日、江氏の弔いについて「当局は最高の待遇で行った」と伝えた。1997年に死去した鄧氏と同格扱いで追悼大会は行われた。

習氏は弔辞で、江氏を「偉大なマルクス主義者、偉大な無産階級の革命家、政治家、軍事家、外交家、長年の試練に耐えた共産主義の戦士」と表現。鄧氏の追悼大会での賛辞と同じ表現で、この後に鄧氏は改革開放の「総設計師」、江氏は「三つの代表」思想の「主要創立者」などと続くのが異なる程度だ。

中国共産党機関紙、人民日報の1面に掲げられた訃報も、江氏と鄧氏はほぼ同様のレイアウトで、両氏の扱いをそろえることに気を配ったことが分かる。

習氏には、江氏が自身を引き上げてくれたことへの恩に報いる姿勢を示す狙いもあるとみられるが、江、鄧両氏を同等扱いすることで自身の権威強化にもつながる。昨年採択した党創建100年の歴史を総括する「歴史決議」は、鄧、江、胡錦濤の3政権を同じ時代としてくくり、鄧氏の存在が小さくなった。江氏への手厚い追悼は、こうした習氏の権威強化の延長線上にありそうだ。

また、北京では11月下旬に習政権が掲げる「ゼロコロナ」政策への大規模な抗議デモが起きたばかりで、江氏の追悼が騒ぎに発展することを警戒した。江氏の遺体を5日に移送した際にも、大規模な交通規制を行うなど厳戒態勢を敷いた。

北京市は6日、スーパーやオフィスビルなどに入る際にPCR検査の陰性証明を求めなくてもよい措置を始めた。営業自粛が続いていた飲食店も、48時間以内の証明があれば飲食が可能になった。習政権はゼロコロナ政策の部分的緩和を進め不満解消を進めている。

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