主張

保育園児虐待 園と市の対応徹底検証を

事件は恐ろしく、あまりにおぞましい。

抵抗するすべを一切もたない園児を相手に虐待を繰り返した複数の保育士、その行為を口外しないよう全保育士に約束させる誓約書を書かせていた保育園長、事態を把握しながら公表を怠っていた行政側、事件に関わる全ての大人の所業を指弾しなければならない。

静岡県警は、裾野市の私立「さくら保育園」の保育士3人を園児に対する暴行容疑で逮捕した。

3人はいずれも30代の女で、それぞれ園児の足をつかんで宙づりにする、真っ暗な排泄(はいせつ)室に放置する、ズボンを無理やりおろす、寝かしつけた園児に「ご臨終です」と発言する、カッターナイフを見せて脅す―などの行為が報告されている。

市が関係者からの情報提供を得て園に事実関係の調査を命じたのが8月、園が虐待に関与した保育士の処分を決めたのは9月(3人は既に退職)、10月には、園が全職員に虐待行為を口外しないと誓約書を書かせた。11月29日に地元紙が報じたことを受け、市は翌30日に問題を公表した。

報道がなければ、事件は闇に葬られた可能性がないか。市は保育園長を犯人隠避罪で刑事告発する一方、問題を把握しながら市長への報告を怠ったとして、健康福祉部長を更迭し、子育て支援監と、こども未来課長を懲戒処分とする。「子育て支援」「こども未来」の肩書が泣く。保育士3人の虐待行為は言語道断として、園や市の不適切な対応についても検証を徹底すべきである。

園の聞き取りに3人は「しつけだった」と釈明し、園は保護者に「園児にけがはなかった」などと説明したとされる。たとえ外傷はなかったとしても、被害園児やこれを目撃した園児はどれだけ怖い思いをしたことか。事件の発覚前、娘から「保育園に行きたくない」と訴えられた父親もいる。園児の心的外傷後ストレス障害(PTSD)が心配だ。

保育士は「児童福祉法」に基づく国家資格で免許の更新はない生涯資格である。ただし保育士の職に就くためには都道府県に登録されることが必要だ。今年6月、わいせつ行為などで登録を取り消された保育士の再登録を厳格化する改正児童福祉法が成立した。同様に「生涯資格」の剝奪についても検討すべきではないか。

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