物価高で身近な品目の値上がりに直面する従業員の生活を支援しようと、企業の間で「インフレ手当」を支給する動きが広がっている。既に支給した企業だけでなく、支給を予定している企業や検討中の企業も含めると、ほぼ4社に1社が取り組んでいるとの調査結果もある。固定費の増加につながる基本給の引き上げは慎重に見極めつつ、一時的な手当を出すことで働き手の生活に配慮する姿勢を機敏に打ち出して士気を維持したいという企業側の思惑が交差した姿なのか。
■日本では最高15万円支給
「子供の夏休み前に支給してもらい、感謝の思いでいっぱいだ」。田平(たびら)貴洋さん(36)は笑顔でこう語った。というのも、田平さんが勤めるソフトウエア開発企業、サイボウズは7~8月、物価高を踏まえて国内外の従業員に「インフレ特別手当」として特別一時金を支払ったためだ。