主張

電力カルテル 不当な競争制限許されぬ

企業向け電力供給をめぐる大手電力のカルテル事件で公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)で中国電力と中部電力、九州電力の3グループに課徴金納付を命じる処分案を通知した。

電力の全面自由化で大手電力の地域独占が廃止され、販売競争が激化している。このため関西電力が主導し、今回の3グループとカルテルを結んで競争を制限したとされている。

3社の課徴金総額は1千億円を超え、過去最高額を大幅に更新する。それだけ市場に与える影響が大きい証左といえる。契約者に割高な料金を押し付ける不当な競争制限は許されない。

関電は自主申告したことで課徴金は免除されそうだが、不当行為を主導した責任は重大だ。

役員陣の金品受領問題も記憶に新しい。同社の法令順守の徹底も厳しく問われる。

公取委によると、電力4社は4年前に販売価格の引き下げ競争を防ぐため、大規模工場や商業施設などの電力市場をめぐり、安売りを仕掛けない相互協定を締結して競争を阻害したという。

段階的に進められた電力自由化により、家庭用を含めた小売りは6年前に全面自由化された。これによって異業種を中心にした新電力が一斉に参入し、料金やサービス競争が激化した。

カルテルは、こうした自由化に逆行し、契約者の利益を損なう行為である。

公取委は今後、各社から意見を聞いたうえで正式な処分内容を決める。不法行為が認定されれば、厳格な行政処分に加え、経営責任の明確化も欠かせない。

電力各社は現在、燃料価格の高騰を受けて電気料金の大幅な値上げを申請している。燃料コストを適正に料金転嫁しなければ必要な設備投資もできず、電力の安定供給にも支障が生じる。それだけに契約者に対する丁寧な説明と理解の獲得が求められている。

そうした中で契約者の不信感を招く不正なカルテルは言語道断と言うほかない。とくに電力業界では法令順守違反が後を絶たない。現場を含めた企業統治の強化が改めて問われている。

一方で暮らしや産業を支える電力は安定供給が大前提だ。電力市場で過度な安売りが横行すれば、事業継続にも影響が出る。バランスの取れた市場設計が必要だ。

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