中国の白紙デモは「天安門より打撃」 台湾でも連帯

台北市で開催された集会で、抗議の白紙を掲げる参加者ら=4日(共同)
台北市で開催された集会で、抗議の白紙を掲げる参加者ら=4日(共同)

中国で11月下旬から、習近平政権の「ゼロコロナ」政策に白紙を掲げて抗議するデモが広がった。この抗議デモのうねりは、天安門事件に終わった1989年の民主化運動よりも大きな打撃を政権に与えたとの見方が出ている。

中国各地の「白紙デモ」を応援する人々の輪は、海外のニューヨークや東京、台湾にも広がっている。

台北中心部の自由広場では4日午後、白紙を手にした約100人の若者が集まり「中国人にも自由を」「独裁反対」とシュプレヒコールを上げた。台湾の人権活動家のほか、3年前に香港で反政府デモに参加し、台湾に逃れてきた学生らが参加していた。

中国の民主化運動を長年支援する台湾の人権活動家によれば、白紙デモの契機は11月24日、新疆ウイグル自治区のウルムチで子供を含む10人が死亡した火災だ。現場周辺がロックダウン(都市封鎖)されており、消防車が近づけなかったといった情報がインターネットで広まった。間もなく江蘇省南京市の大学で、ある女子大生が白紙を手に火災犠牲者を追悼し、当局のコロナ対策に抗議した。同級生らが次々と加わる映像がネットで流れた。

南京の女子大生は当局に拘束されたが、白紙を手にした抗議者が各地に次々と現れた。白紙には「何かを書いても消される」ということを示し、言論封殺に抗議する意味があるという。

中国共産党中央党校の元教授で米国在住の蔡霞氏によれば、白紙デモと89年の民主化運動はともに若者中心の運動だが、大きな違いがある。

天安門事件の際の民主化運動は、中国が改革開放に向かう途上で起きた。「もっと自由が欲しい。政治改革を進めてほしい」といった高い理想を掲げた大学生や知識人が中心で、一般市民が主役ではなかった。

これに対し、白紙デモは約3年間の「ゼロコロナ」で経済が停滞し、人々が疲弊した結果だ。デモの学生らは「自由になりたい」という全国民の声を代弁しており、政権への打撃は89年より大きいという。

中国当局は最近、北京などいくつかの主要都市で厳格なコロナ対策を緩和した。デモ隊側の要求を一部受け入れた形だが、南京の女子大生を含む一部の抗議者は拘束され続けている。台湾の人権活動家は「中国当局はいったん譲歩する形をとり、デモが収まった後に参加者に報復する可能性がある」と警戒している。

(台北 矢板明夫)

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