「風紀警察は活動停止」 イラン、取り締まり緩和示唆 デモ収束は見通せず

9月21日、イラン・テヘランで警察に拘束され、死亡した女性への抗議デモをする人たち(ゲッティ=共同)
9月21日、イラン・テヘランで警察に拘束され、死亡した女性への抗議デモをする人たち(ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イランの検察当局者は4日までに、街頭で女性の服装を監視する「風紀警察」が活動を停止したと述べた。ロイター通信が伝えた。風紀警察は9月中旬、頭髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」を適切にかぶっていないとして女性(22)を拘束し、女性が不審死を遂げたことで大規模な反政府デモが起きる原因となった。

街頭では最近、風紀警察の姿が減ったとの観測があり、政府が取り締まりの緩和を示唆するシグナルを発した可能性もある。ただ、風紀警察を管轄する内務省は活動停止を確認していない。テヘランでは7日に反政府デモが行われる予定で、事態の収束にはつながらないとの見方が多い。

イランの通信社は3日、同国のモンタゼリ検察官が風紀警察は活動を停止したと述べたと伝えた。同検察官は「(国民の)振る舞いは引き続き監視される」としている。国営テレビ局アルアラムは、海外メディアが発表を政府の「後退」と評していると報じる一方、風紀警察は司法当局とは直接関係がないと伝えた。

一方、デモ隊は4日、テヘランのアザディ(自由)広場で7日にデモを行うと交流サイト(SNS)に投稿した。最高指導者ハメネイ師の腹心で反米保守強硬派のライシ大統領は同じ日にテヘランで演説する予定で、混乱も予想される。デモ隊は5日から3日間のストライキも呼びかけた。

イランはイスラム教を国教とし、聖典コーランに基づいて女性に全身が隠れる服装を義務付けている。ヘジャブもその一環で、風紀警察は街頭で女性の服装を監視し、連行して指導するケースもあった。

死亡した女性は西部クルディスタン州出身のマフサ・アミニさん。9月13日にテヘランで風紀警察に連行され、16日に死亡した。警察側は心臓発作が原因だとしたが、父親らが暴行された可能性を指摘し、17日からデモが始まって全土に拡大した。

イラン内務省は3日、これまでのデモで200人が死亡したと発表した。一方、人権弾圧を監視する非政府組織「HRANA」は同日までに470人が殺害されたとしている。

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