自国開催のサッカーW杯で、カタールに厳しい現実が突きつけられた。エクアドルとの開幕戦に敗れると、3戦全敗であっけなく1次リーグ敗退。世界の壁はあまりにも高かった。
2004年に国家的プロジェクトとして設立されたアスリート育成機関「アスパイア・アカデミー」は徐々に成果を出していた。14年のU-19(19歳以下)アジア選手権を制し、19年のアジア・カップでは決勝で日本に勝って初優勝。五輪と並ぶスポーツの祭典への機運は高まっていたはずだが、国民の期待はさほどでもなかったようだ。
6万7372人の観衆を集めた開幕戦。前半に2点を失うと、敗色濃厚とみたファンがハーフタイムからぞろぞろと帰路に。試合終了を待たずに半分以上が空席となる、W杯には珍しい光景が広がった。開幕前日に地元の男性に期待値を聞いたところ、「カタール? ダメだろう」と投げやりな答えが返ってきたのに合点がいった。