長いロスタイムの裏にあるFIFAの思惑「3得点なら5、6分浪費」

1次リーグC組のポーランド-メキシコ戦で、ロスタイム7分を示すボードを掲げる審判員=11月22日、974競技場(AP)
1次リーグC組のポーランド-メキシコ戦で、ロスタイム7分を示すボードを掲げる審判員=11月22日、974競技場(AP)

日本が旋風を巻き起こしているサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、「長すぎるロスタイム」が話題となっている。通常は5分を超えれば長く感じるが、今大会は10分超も珍しくない。ゴールラッシュとなった1次リーグのイングランド-イラン戦は負傷者の治療に時間を要したことも手伝い、前後半合わせて27分にも上った。浪費した時間を厳密に加算したいとする国際サッカー連盟(FIFA)の意向によるもので、これを機に標準化していくかもしれない。

7分-。日本がスペインを破って1次リーグ突破を決めたスペイン戦で、後半ロスタイムの長さをじれったく感じた人は少なくないだろう。この一戦に限らず、今大会はロスタイムの長さが際立っている。

背景にはFIFAの意向がある。ピエルルイジ・コリーナ審判委員長は開幕前のブリーフィングで、ゴール後に繰り広げられるパフォーマンスについて「1分から1分半かかり、3得点なら5~6分の時間が消える。私たちは正確にロスタイムを計算したい」と強調した。

今大会はここまで52試合を消化し、ロスタイムの平均は前半3・8分、後半7・3分の計11・1分。後半ロスタイムが10分以上となったのは12試合に上り、3分に満たなかったのは1試合もない。

特に顕著なのがイランだ。6-2の打ち合いとなったイングランド戦は前後半合わせて27分、初勝利を飾ったウェールズ戦は同16分、最終戦の米国戦は同17分と、3試合で計60分ものロスタイムを戦った。

日本-スペイン戦と同時刻に始まったドイツ-コスタリカ戦は、計5ゴールが乱れ飛んだ後半に10分のロスタイムを記録。コリーナ審判委員長の説明を裏付けるように、点の取り合いになればロスタイムも長くなる傾向にあるようだ。

また、ゴールに関わるプレーに介入する「ビデオ・アシスタント・レフェリー」(VAR)の存在も無関係ではない。スペイン戦で田中碧(あお)(デュッセルドルフ)の決勝ゴールを演出した三苫(みとま)薫(ブライトン)の折り返しは、紙一重の「1ミリ」アシストで注目を集めたが、VARによってゴールが認められるまでに約2分30秒かかった。判定までに要した時間の浪費を厳密に計測した結果、ロスタイムが7分にも及んだのだろう。

ロスタイムが長くなれば、試合終盤の苦しい時間帯にさらに体力を削られる。GK権田修一(清水)は「いつも以上に集中を切らさないことが大事」と話した上で「(前後半とも)50分あると思って戦う」と冷静に受け止めている。(ドーハ 奥山次郎、大石豊佳)

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