ガソリン価格なぜ県で違う? 高い長野・山形、宮城は全国最安

消費者物価の上昇率が40年ぶりの歴史的水準となるなど物価高が続く中、無視できないのが地方の「車社会」に欠かせないガソリン代。政府はガソリン価格を抑えるための補助金を継続しているものの、高負担感はぬぐえない。ガソリン価格をめぐっては、長野や山形両県が全国でも高水準の一方、宮城県は全国一安いなど、地域によって異なるという特徴がある。

生活防衛へ「越県」

レギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格が11月28日現在、全国で5番目に高い長野県。長野市中心部のガソリンスタンド「カワネン長野綱島店」では、併設のコンビニを利用するとガソリンが値引きされるとあって、多くの車が「生活防衛」に訪れていた。

静岡県から越してきたという看護師、山田万依さん(42)は「ガソリンのあまりの高さに驚いて、引っ越し当初、静岡と行き来していたころは向こうで給油していた」と話す。買い物などもできるだけ歩くなどして節約している。

ゴルフなどで新潟県によく行くという男性(75)は、感覚的にリッター20円ほど違うとし「新潟に行くときは、着いたらちょうど空になるように『片道切符』で行く」と話した。

市場原理で決まる

都道府県によりガソリン価格が異なるのはなぜか。

石油情報センター(東京)によると、ガソリンの小売価格は、①沿岸部にある製油所からの距離で輸送・人件費が異なる②店舗間で競争原理が働く-ことによって、差が出てくるという。

このため、全国的には離島や山間地の多い九州地方で軒並み高く、東日本でも長野県のほか、山形県も全国7位の高水準に。長野県へガソリンを運ぶ際は、中京圏の製油所からまず列車で松本市の二次基地へ運ぶなどし、タンクローリーに積み替えて運ぶという。

長野県くらし安全・消費生活課の工藤創主任は「内陸県のため輸送費が上がることに加え、大都市圏より取扱量が少ないため単価も上がる。山間地の小規模スタンドはなおさらで、どうしても県全体の平均価格は高くなる」と説明する。

一方で、ガソリン価格は市場原理に委ねられているため、競争が激しい都市部などでは小売価格も下がる傾向にある。同センターは「宮城、岩手、青森3県が全国でも最安値なのは、仙台の製油所に近い上、激しい競争があるためと考えられる」と分析する。

地上タンクも活躍

ガソリン価格抑制のため政府は1月から石油元売り会社へ補助金を支給している。元売り各社への支給を通じスタンドなどでの販売価格を抑制する仕組みで、軽油や灯油、重油、航空機燃料も対象に含まれる。

経済産業省は、1リットル167・6円だった11月28日時点の全国平均小売価格も、補助金の支給がなければ193・7円になるとしている。10月末に決定した国の総合経済対策でも補助金の当面継続が盛り込まれた。

長野県は、価格が市場原理で決まっていることを理由に、今のところ独自の補助金支給といった介入はしていない。一方で、急激な物価高を受けた価格高騰緊急対策の中で、料金規制下にある交通事業者に対してはバス1台20万円、タクシー同5万円など燃料費補助を始めている。

また、山間地の小規模スタンド維持のため、国は通常の地下埋蔵型のタンクよりも費用を抑えられる「地上タンク」を特例で認めており、県最南部の売木(うるぎ)村では2年前、1カ所を確保した。県の工藤主任は「住民の生活のため設置を続けていただきたい」と話す。(原田成樹)

【ガソリン価格】 ガソリンは、まず元売り会社が産油国から輸入した原油に精製コストを反映させ卸価格を決める。スタンド経営者は卸価格に人件費や利益を上乗せし小売価格をつける。需給や競合店の動きも影響する。現在の全国平均小売価格167・6円のうち71・8円、約43%はガソリン税53・8円、石油石炭税2・04円、地球温暖化対策税0・76円、消費税の税金が占める。

会員限定記事会員サービス詳細