30年前に日本で提供環境が整ったインターネットは、日本人の働き方も変えた。ネットを使った電子メールの登場で、人々は取引先からの連絡を取り逃すまいと固定電話の前で待ち続ける必要がなくなった。さらにスマートフォンが行き渡ると、メール内容を会社に戻ってパソコンで確認する必要もなくなり、オフィスという「場所の制約」すらなくなった。
「働き方では『スマホ前・スマホ後』の変化が劇的だった」と指摘するのは、経営支援などを手掛けるフロンティア・マネジメントの松岡真宏代表取締役共同社長(55)だ。「スマホは移動時間にも使え、海外出張に向かう飛行機の中から部下が申請してきた稟議(りんぎ)書をクリック一つで決裁することもできる。これまでぼーっと無駄に過ごすしかなかった隙間時間で重要な仕事をこなせるようになり、場所という概念から自由になった」