主張

かかりつけ医 制度設計の後退許されぬ

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)

かかりつけ医機能の制度化に向けて、厚生労働省の専門部会が制度の骨格案を出した。だが、全世代型社会保障構築会議が示した方針より内容は後退している。厚労省はいったい、誰の顔色を見ているのか。

新型コロナウイルス禍で国民の多くが抱いた、かかりつけ医への疑問や不満が、制度化を求めたはずだ。有事でも平時でも機能するかかりつけ医制度を目指し、政府は不退転の覚悟で臨んでほしい。

専門部会の骨格案は、かかりつけ医の「定義」を法律に明記するとしたが、登録制にも認定制にも言及しなかった。

感染拡大の有事でも患者がかかりつけ医に責任を持って診てもらうには、ゆるやかであれ、登録や認定制の導入が必要である。

構築会議は、かかりつけ医の活用について「医療機関、患者それぞれの手上げ方式」としていたが、骨格案は「医師により継続的な医学管理が必要と判断される患者」を対象とし、医師に選択を委ねた格好だ。制度化や登録制に反対する日本医師会などを気遣ったとしか思えないではないか。

骨格案では医療機関が機能を報告する制度を創設し、提供できるサービスを自治体に報告して患者に示すとしたが、義務化は明言されなかった。自治体がサービスの過不足を把握するには役割分担を明確にすることが欠かせない。

報告すべき内容には慢性疾患の継続管理や休日・夜間の対応、介護との連携などが挙げられたが、オンライン診療や発熱外来の機能の報告も必要だ。

新型コロナ禍では、どの医療機関が発熱やワクチン接種に対応するのか分からず、患者が右往左往するようなケースがみられた。その反省の上に立つ制度化でなければ意味がない。

自治体や地区医師会がパンデミックの渦中で、発熱外来や訪問診療、オンライン診療を行う医療機関を探すようなことでは困る。有事対応を改善するためには、平時のかかりつけ医機能の充実こそが必要なはずだ。

政府は経済財政運営の指針「骨太の方針」に「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と明記している。骨格案は「骨太」の方針にかなうものなのか。2040年代には高齢者数がピークを迎える現実を直視して制度の構築に臨まなければならない。

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