サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグH組で2日、韓国が後半ロスタイムに勝ち越す劇的な逆転勝利。他会場の試合が終わり、総得点でウルグアイを上回って3大会ぶりの決勝トーナメント進出が決まると選手らは感情を爆発させた。主将の孫興民(ソン・フンミン)は「決して諦めず、懸命に戦った」と歓喜の涙を流した。
1次リーグ突破のためには勝利が必要だった。すでに勝ち抜けを決めていたポルトガルはエースのロナルドも先発する本気モードで、前半5分に先制を許す苦しい展開。ただ選手たちの脳裏には、ライバルの日本が見せた逆転勝ちが刻まれていた。1日のスペイン戦を宿舎で観戦。J1神戸などでプレーした鄭又栄(チョン・ウヨン)は「(日本の戦いは)本当に力になった。私たちも逆転できると思った」。
前半27分に同点に追いつき、試合は後半ロスタイムへ。ここで孫興民が得点のお膳立て。相手CKのクリアを拾い、自陣からドリブルで相手ペナルティーエリア付近まで突進。3人に囲まれながらDFの股下を通して黄喜燦(ファン・ヒチャン)に送ってGKとの1対1を演出した。冷静に流し込んで試合を決めたストライカーは「孫興民がチャンスを作ると言っていて信じていた。そして素晴らしいパスをくれた」と大黒柱に感謝した。
孫興民は昨季、アジア選手として初めてイングランド・プレミアリーグ得点王に輝いた。11月1日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)で左目付近を負傷。手術を受け、W杯出場が危ぶまれたが、黒いフェースガードをしてカタールのピッチに立っている。自身3度目のW杯でつかんだ16強の切符は格別。不屈の闘志で次はブラジルに挑戦する。(大石豊佳)