防衛省が、沖縄県を中心とした南西諸島防衛を担当する陸上自衛隊の第15旅団を師団に準ずる「南西防衛集団」に格上げすることが3日、分かった。現在の1個普通科連隊から2個に増強する。旅団長も陸将補から陸将に格上げして司令官とする。「集団」の新設は南西諸島防衛強化の一環で、沖縄県に司令部を置く米海兵隊の第3海兵遠征軍(ⅢMEF)との連携を強化する狙いもある。
第15旅団は那覇駐屯地に拠点を置く約2500人の部隊。平成22年3月に第1混成団を格上げして発足した。政府は今月中旬にも5年間の「中期防衛力整備計画」を、10年間を対象とする「防衛力整備計画」に衣替えして閣議決定し、3千人規模の南西防衛集団の新設を盛り込む考えだ。
これまで、ⅢMEF司令官(中将)と、陸将補(少将に相当)の第15旅団長には階級差があった。米海兵隊は台湾有事などをにらみ、地対艦ミサイルなどを装備した小規模部隊を分散展開して中国軍に対抗する遠征前進基地作戦(EABO)を強化している。より密接な連携を図るため、沖縄を担当する司令官の階級を同格とすべきとの意見が陸自内にあった。
陸自は平成28年に与那国島に沿岸監視隊を約160人態勢で編成して以降、奄美大島や宮古島にもミサイル部隊を配備した。石垣島でも駐屯地整備が進んでおり、南西防衛の強化を目指してきた。第15旅団はこれまでも有事の際に離島に部隊を展開する運用を検討してきたが、南西防衛集団の新設により、こうした機能の強化も図る。
また、南西防衛集団の司令官には地元自治体と調整する権限を付与し、上級部隊の西部方面隊(熊本県)の行政機能を一部移転する。有事に備え、弾薬や燃料の保管施設も新設したい考えだ。