SAITAMA珍奇ツアー

カッパがどんどん増殖中!? 埼玉南部にカッパと人がともに暮らす「楽園」があった 志木市

東武東上線・志木駅前の親子ガッパの像。訪れる人をやさしく迎えてくれる=埼玉県志木市(中村智隆撮影)
東武東上線・志木駅前の親子ガッパの像。訪れる人をやさしく迎えてくれる=埼玉県志木市(中村智隆撮影)

東京のベッドタウンとして有名な埼玉県南部の志木市。古くは舟運で栄えたこの街で今、カッパが増殖中という。カッパといえば頭にお皿をのせたユーモラスな姿ながら、川に近づいた人を中に引き込むといった悪さをするという妖怪。住民に被害はないのか。この目で確かめてみることにした。

東武東上線で池袋駅(東京都豊島区)から約20分の志木駅(新座市)。東口を出て地上に降り立つと、いきなり出くわした。

あぐらをかいた「引又おやじ」に、ちょこんとたたずむ「おすましくん」の親子ガッパ。「お迎え母さん」は下半身が地中に埋まった状態だった。

初めは身構えたが、よく見ると穏やかな表情で、こちらを優しく迎えているよう。とても悪さをするようには見えなかった。

3匹は市内で石材店を営む内田栄信さん(81)が手掛けた石像で平成12年に設置された。親子の情愛で見る人の心をほっとさせたいと思い作ったという。

市内では4年からカッパ像が各所に置かれ、今年で26体にまで拡大。全国有数の〝カッパ人口〟だろう。多くが内田さんによるもので「『子供が触れられるように』などの要望次第で制作を考える」といい、まだまだ増えるかもしれない。

なぜ「志木にカッパ」なのか。背景にあるのは3本の1級河川が流れ、かつて船着き場を中心に商業が栄えた市に残る伝説だ。

昔、悪さをするカッパを人々が焼き殺そうとした。泣いて許しを請うカッパを寺の和尚が諭し助けると、翌朝、和尚の枕元にはフナが。人々はカッパがお礼をしたと噂し合ったそうな。

話の舞台は市内の宝幢寺(ほうどうじ)で、境内には手に魚をのせたカッパの像がある。住職の金剛光裕さん(58)は「おどろおどろしいイメージの一方でかわいらしさもある。改心して、今は子供を守る存在かな」。

宝幢寺の一画にたたずむカッパ像。寺のカッパ伝説は民俗学者、柳田国男の著作でも紹介された=埼玉県志木市(中村智隆撮影)
宝幢寺の一画にたたずむカッパ像。寺のカッパ伝説は民俗学者、柳田国男の著作でも紹介された=埼玉県志木市(中村智隆撮影)

他に「船頭とカッパが相撲を取った」とも伝わり、市などは「カッパの郷」をアピール。カッパ像めぐりをPRするほか、カッパがモデルの市文化スポーツ振興公社のゆるキャラ「カパル」は平成30年のゆるキャラグランプリを制した。

市の担当者は「カッパとともに暮らす街。市民も外から訪れる人も愛着を持ってほしい」と話している。(中村智隆)

メモ ▽所在地(宝幢寺)=志木市柏町1の10の22▽アクセス=東武東上線志木駅から車で約5分、徒歩約15分▽カッパ情報=志木駅前や新河岸川沿いの「いろは親水公園」周辺にカッパ像が集まっている。


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