ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とする物価上昇と歴史的な円安との二重苦は家計を圧迫し、成長力や生産性が高まらず、十分な賃上げもままならない日本経済の脆弱(ぜいじゃく)な姿を浮き彫りにした。岸田文雄政権は物価高に対応する総合経済対策を打ち出したが、対症療法にとどまるとの指摘は多い。日本経済の低迷の要因と、その打開策について3氏に聞いた。このうち、BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏の話は次の通り。
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日本銀行による10年に及ぶ「異次元緩和」の〝大実験〟で分かったことは、日本の長期低迷の原因はデフレや金融緩和の不足ではなかったということだ。低成長も低い実質賃金も、まったく変わらなかった。