同じ時間にキックオフ、共に勝利も分かれた明暗… 日本とドイツを待ち受けていたドラマ

【日本-スペイン】試合に勝利し、記念写真におさまる(左から)板倉滉、堂安律、冨安健洋=ハリファ国際競技場(撮影・蔵賢斗)
【日本-スペイン】試合に勝利し、記念写真におさまる(左から)板倉滉、堂安律、冨安健洋=ハリファ国際競技場(撮影・蔵賢斗)

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、1次リーグE組のスペインに2-1で勝利し、1位通過で2大会連続の決勝トーナメント進出を決めた日本。大一番となったこの試合は、同じE組のドイツ-コスタリカの一戦も同時進行で行われていた。E組は、試合開始前の時点でいずれのチームにも決勝進出の可能性があった。大混戦の中で、それぞれの代表チームが国民の期待と国の威信を背負って臨んだ大一番は、いずれも点を奪い合う激しい展開に。試合を制した日本とドイツには、明暗分かれる結末が待っていた。

試合を完全に変えた一撃

1日午後10時(日本時間2日午前4時)にキックオフとなった2つの試合は、それぞれ序盤からスコアが動いた。アルペイト競技場で行われていたドイツ-コスタリカの一戦では前半10分、ドイツがニャブリのゴールで先制。そのわずか1分後、日本-スペインの試合が行われていたハリファ国際競技場のスタンドにも歓喜の声が響き渡る。スペインが前半11分、モラタがヘディングを決めて先制。前半はドイツ、スペインがそれぞれ試合を優勢に進め、1-0で折り返した。

このまま試合が終了すれば、欧州を代表するサッカー大国の2国が決勝トーナメント進出を決める。

しかし本当のドラマは後半に待っていた。日本は後半開始直後から堂安と三笘を投入。2-1と劇的な勝利を収めたドイツ戦をほうふつさせる森保一監督の攻撃的な采配に選手もすぐに応えた。

後半3分、堂安が右サイドから左足で豪快にミドルシュートを決めて同点に。英紙「デイリー・メール」は堂安の一撃が「試合を完全に変えた」と報じた。

わずか3分後の後半6分、ペナルティーエリア左から三笘が折り返したボールを田中が押し込んだ。ボールを切り返す際にゴールラインを割ったかと思われたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の末にゴールが認められて2-1と逆転に成功。田中を中心に歓喜の輪ができた。

【日本-スペイン】 後半、ゴールを決めて喜ぶ田中碧(中央)ら =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)
【日本-スペイン】 後半、ゴールを決めて喜ぶ田中碧(中央)ら =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)

コスタリカ逆転、ドイツが再逆転

日本が逆転に成功したその裏で、ドイツ-コスタリカ戦も大きく動いた。後半13分、コスタリカがテヘダのシュートで同点に追いつくと、25分には相手のオウンゴールで2-1と逆転。前半はドイツに押し込まれていたコスタリカにも、決勝トーナメント進出の光が差し込んだ。

しかし、ドイツもここから意地を見せた。28分にハフェルツのゴールで同点に。この時点では、日本はスペインと引き分けてもE組を2位で通過できたが、ドイツは40分、44分と相次いでゴールを決め、4-2と勝ち越しに成功。日本は、引き分ければ得失点差でドイツに及ばない事態となった。勝てば1位通過、引き分け以下なら敗退という「天国と地獄」が待ち受けていた。

目まぐるしい試合展開にSNSも沸いた。「2試合同時に見るのは人生初」「どっち(の試合)も目が離せん」。ツイッターにあふれたのは、試合展開に一喜一憂するユーザーたちの声だった。

「天国と地獄」、E組最終戦の順位変動

スペインが波状攻撃、必死に耐える日本

日本は逆転に成功したものの、後半30分以降は防戦一方。W杯で優勝経験のあるスペインの波状攻撃を、必死に耐える展開となった。

後半のアディショナルタイムは7分。スペインの猛攻はその後も続いたが、日本が何とかしのいで2-1のまま試合終了。ドイツ戦と同じ会場となったハリファ国際競技場には、日本代表サポーターの歓声が響き渡った。「日本のファンにとって、忘れられない夜になった」。FIFAの公式ツイッターは試合後、日本に祝福のメッセージを寄せた。

一方のドイツ-コスタリカの一戦も、4-2で試合が終了。1次リーグ初勝利のドイツは勝ち点4でスペインに並んだが、最終的には得失点差でスペインが上回り、2大会連続で1次リーグ敗退が決定。ドイツの選手たちは、コスタリカ戦での勝利にも笑顔はなく、ピッチに倒れこんだ。

決勝トーナメント進出を逃し、倒れこむドイツの選手(ロイター)
決勝トーナメント進出を逃し、倒れこむドイツの選手(ロイター)

健闘をたたえ合い

試合終了後から約20分後だった。「日本代表の皆様、決勝トーナメントも頑張ってください」。在日本ドイツ大使館の公式ツイッターが日本の勝利をたたえてツイートした。

すると、リプライ(返信)には「ドイツ、ブンデスリーガの懐の深さに、心より感謝します」「コスタリカ戦でのドイツ代表の怒涛の攻撃もさすがでした」などと日本人ユーザーから感謝の声が寄せられた。「いいね」はあっという間に6万を超えた。

激闘が終わると、互いの健闘をたたえ合う姿がそこにはあった。


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