自民党の憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)の会合が2日、党本部で開かれ、今年度中に憲法集会を1000回開催するとの目標を共有した。ロシアによるウクライナ侵攻などで憲法の課題が浮き彫りになる中、党是と位置付ける改憲の機運を醸成する狙いがある。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で停滞する党勢の回復につなげられるのかも注目される。
「ウクライナ問題もあって憲法への関心が非常に高まっているのは間違いない。しっかり推進していくことが大切だ」。古屋氏は会合でこう述べ、憲法改正への共感を広げる必要があるとの考えを示した。
自民は同本部の下にタスクフォースを置き、全国に講師を派遣して憲法集会を開いてきた。ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの感染拡大などに伴い、「憲法を変えずに国民を守れるのか」との懸念が強まっていることも背中を押した。
ただ、今年4月以降の開催は約400回にとどまり、来年3月末までに目標の1000回を達成できるかは不透明だ。このため、自民は2日付で憲法集会の開催を促進するよう、全国会議員と全都道府県連に通知した。
もっとも、課題は少なくない。会合に出席した自民ベテラン議員は「今は憲法改正よりも物価高対策への関心が高い。なかなか厳しい」と苦渋の表情を浮かべた。改憲支持層以外への働きかけも不十分だ。若手議員は「憲法集会の来場者は固定化されていて、多くが改憲に賛同している人たちだ。アプローチを広げることが大事だ」と語った。
「自民が憲法改正に熱心なのは旧統一教会の影響だ」との趣旨の批判もあり、昭和30年に「現行憲法の自主的改正」を掲げて誕生した政党であることを、浸透させることも必要だ。
安倍晋三元首相や石破茂元幹事長らは野党時代、憲法改正草案(平成24年発表)作りを通じて改憲政党の立ち位置を再確認し、政権奪還へ結束を強めた。自民重鎮は「憲法の課題を解決するのが政権与党の責務だ」と強調し、党を挙げて憲法集会に取り組むべきだと訴えた。(内藤慎二、児玉佳子、太田泰)