5類引き下げ視野 コロナ分類見直し本格検討

参院予算委で答弁する加藤勝信厚労相=2日午前、国会・参院第1委員会室(矢島康弘撮影)
参院予算委で答弁する加藤勝信厚労相=2日午前、国会・参院第1委員会室(矢島康弘撮影)

政府は今回成立した改正感染症法の付則に、新型コロナウイルス感染症の同法上の分類について、見直しを「速やかに検討する」と明記した。現在は結核などと同じ「2類」相当として強い感染症対策を取っているが、季節性インフルエンザと同じ「5類」への緩和も視野に、見直しの議論を本格化させる。

「コロナの分類そのものは当面維持しつつ、専門家の意見も聞きながら総合的に検討を進めたい」

加藤勝信厚生労働相は2日の記者会見で、分類変更に向けた議論を加速させる考えを示した。

「2類」相当では受診、入院できる先が発熱外来や指定医療機関に限られ、感染が拡大する度に医療現場が逼迫(ひっぱく)した。外出自粛要請や就業制限が可能で、社会経済活動に大きな影響を与えていた。

政府はこれまで、高齢者らの致死率や重症化率が高かったことなどから、分類変更に慎重な姿勢をとってきた。

だが、主流のオミクロン株は致死率の低下が顕著になっている。

政府の資料によると、60歳以上の致死率は、デルタ株が主流だった昨夏の第5波では2・5%だった。これが、今年7月ごろから始まったオミクロン株の派生型「BA・5」による第7波では、大阪府のデータで0・48%となり、季節性インフルエンザの0・55%とほとんど差がなくなった。

ワクチン接種も進み、11月には塩野義製薬の国産初の飲み薬「ゾコーバ」が緊急承認された。インフルエンザとの同時流行対策は一定のめどが立ちつつある。

5類に引き下げれば、発熱外来に限らず幅広く一般医療機関で受診できるようになり、医療現場の逼迫を回避することが期待できる。厳しい行動制限もなくなり、社会経済活動を一層推し進めることにもつながる。

課題は医療費の公費負担の在り方だ。2類相当では全額が公費負担だが、5類になれば、一部自己負担となる。日本医師会幹部は「今のうちに分類変更への合意を得ておくのは賛成だが、新規感染者が増える中、公費での対応を大きく止めるのは反対だ」と語る。

政府は今後、感染症の専門家らとこれまでのコロナ対策の検証作業を行う。第8波の動向を見極めながら、分類変更のタイミングを慎重に探る。(村上智博)

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