岸田文雄首相は11月28日、「防衛関連費」を2027年度に国内総生産(GDP)の2%に増額するよう関係閣僚に指示した。この「防衛関連費」とは防衛費に加え、公共インフラの整備や研究開発費など、防衛に資する他省庁の予算を加えたものだ。同22日には防衛力強化のあり方に関する有識者会議の報告書が出されている。この報告書はこうした首相指示の流れを作るための〝道具立て〟だったことが明確になった。
財務省のための報告書か
報告書では日本への武力攻撃に対する反撃能力の保有や弾薬の確保などの継戦能力の強化も一応盛りこまれており、この点を評価する向きもある。しかし有識者会議の真の狙いはそこにはない。「財務省による財務省のための報告書」であることは、会議での提出資料や有識者会議のメンバーの顔ぶれからも透けてみえていた。