2025年大阪・関西万博を見据え、大阪市は市内全域で路上喫煙の全面禁止を目指している。健康意識の高まりからおおむね好意的に受け止められている半面、課題も浮上する。全24区に新設予定の喫煙所数を約120カ所とする大阪市に対し、地元商店会の試算では3倍以上の喫煙所が必要との結果が出たのだ。設置費や維持費の問題もあり、市の分煙対策の実効性を懸念する見方が出ている。
平日の昼下がり、大阪で随一のオフィス街・堂島。喫茶店の軒下に設置されたスタンド灰皿にサラリーマンらが集う。店内は喫煙可能だが、外は紫煙をくゆらせる人であふれている。
「夏ぐらいから急に(喫煙者が)増えた」と証言するのは喫茶店の女性従業員。店の約200メートル先にある堂島公園内で8月末、喫煙所がパーティション(間仕切り)1枚だけの「開放型」から、屋根と壁で完全に囲まれた「閉鎖型」に切り替わった影響もあるとみられる。
「あそこは人数制限があるので」。喫茶店前の灰皿を利用していた男性会社員(23)は、堂島公園に整備された閉鎖型喫煙所に苦言を呈する。新型コロナウイルス禍もあり定員は10人。喫煙者が列をなすこともあり、順番待ちがわずらわしいという。
「閉鎖型」 かさむコスト
令和7(2025)年1月、路上喫煙の全面禁止に踏み切る大阪市。既存の公設喫煙所は6カ所しかなく、分煙環境を整備するため、民間の協力も仰ぎ喫煙所を約120カ所新設する方針だ。受動喫煙が生じにくい閉鎖型喫煙所の設置を基本とするが、実のある対策になるかは疑問視される。