朝晴れエッセー

子育てと本・12月2日

休日の午後、息子の部屋の前を通ると「ちょっと」と手招きをされた。その手の中に4冊の児童書がある。「これは僕が子供の頃たくさん読んだ本の中でも、えりすぐりのお気に入りです。この中でお母さんのお薦めで読んだ本があります。どれでしょう」と問題を出してきた。

小学生時代、本好きの息子に児童書のあらすじ紹介などの情報を仕入れて、ぜひ読ませたいと思うものをよく薦めていた。新聞の書評欄の記事を「これどう?」と見せていたが、いつもそれほど反応はなく、自分で選びたいのだろうなと思いつつも続けていた。

そしていつの間にか立場は逆転し、本好きのまま成長した息子からお薦めを聞いたり借りたりするようになった。ただし私の本の扱いが雑だとよく叱られたりするのだ。とにかく本を大事に扱う。お気に入りの文庫本が本棚に何らかの規則性をもって並べられている。

小さいときに大好きだった本をわざわざネットで購入してきれいなまま持っておきたいというのは彼らしい。選びに選んだであろうその4冊の中に私が推したものがあるとは意外だった。

子供が幼い頃は余裕がなくて、子育てに関しては反省ばかりだ。しかしそんな中でいいと思ってやったことの一つが忘れた頃に形になって現れうれしかった。

解答できなかったが、その本のあらすじを丁寧に教えてくれるのを聞きながら幼かった彼の顔が重なった。


西村優紀子(59)  滋賀県草津市

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